スカイスキャナー がお届けする

2024年の旅行

離陸準備完了の宇宙船

2024年春

3DのApple社製テレビに流れるのは悪いニュースばかり。「今日も長くて疲れる一日になりそうな予感がする」。トム(未来の旅行者)は軽く手を振り、ジェスチャー制御ユニットの電源を切って、ため息をつく。「間違いなく休暇が必要だな」

週60時間働きづめのトムは、「MeTube」(YouTubeではなく自分専用の動画サイト)のアラートにさえ、仕事から離れる必要があると言われる始末。トムのバーチャル・ハウスメートSiriもトムが極度の疲労状態であると気付いています。

トムからの指示なしに、Siriは、トムが気に入るであろう旅行プランを集めはじめました。アフリカの絶滅した象の群れを見に行くなんてどうかしら?「20年前に絶滅しちゃったのよね」とSiriはつぶやきます。

「う~ん。もう少しリラックスできる所がいいな」トムは言います。

「水中ホテルなんてどうかしら」。 Siriが提案し、電気を消してサンゴ礁を包む波の音でお部屋を満たし、フィジーの透明な海の下にあるお部屋の大きく見晴しの良い窓からの贅沢な海の眺めをホログラムで投影します。

休暇予定を考えているTOM
ホテルの部屋をバーチャルで体験しているTOM

20分の間にSiriはトムの第3世代Glyph TVに仮想ストリームを配信し、ワクワクするような画像や言葉、音楽、そして旅行が順調に運ぶように計算された価格をカスケード表示させます。

やっとトムの興味を引く素晴らしい画像が表示されたようです。それは胸をときめかせるほど美しい地球の青緑の曲線の向こう側にある低軌道上の新しい宇宙ホテルです。トムは椅子に腰かけ、「さあ、話をしようか」と小さな声でつぶやきます。

「予約を頼むよ、Siri」

宇宙ホテル
宇宙ホテル

「トムは架空の人物ですが、上記のストーリーの中に出てきた各種テクノロジーは現実に存在するか、テスト段階にあるか、もしくは試作品の開発段階のものです」今回の報告書作成にあたり、スカイスキャナーに協力していただいたFuture Laboratoryの共同設立者であるマーティン・レイモンド氏は話します。

当社の調査と専門家のインタビューによれば、複数のプラットフォームやデバイスで行われる時間のかかるオンラインでの旅行先決定や調査、そして予約手続きは10年内になくなることが示唆されています。

スカイスキャナーの企業間取引担当部長としてフィリップ・フィリポーヴ氏は次のように話します。「近い将来、不特定多数の消費者を対象とする市場は、セマンティック・アプリケーション、位置認識アプリケーション、ビッグデータ*・アプリケーションへと変革を遂げていくでしょう。そしてこれらのアプリケーションは、旅行者に対して本来の目的とは異なる形で利用されるでしょう」(*ビッグデータとは、人間の合理的な管理能力や理解能力を超えるひとまとまりのデータです。このため、データを視覚化するためにより想像力に富んだ方法が必要とされます。)

Googleグラス

「5年以内にグーグル・グラスなどのガジェットは、これらの分野のテクノロジーを使うことになります。

そして誰でも簡単にアクセスできる膨大な数のユーザーからの情報が活用され、外国語の処理方法や、食事に出かけるレストランの選択方法の手順に変化が見られるようになるでしょう」

2020年代の旅行業界に新たに出現するテクノロジーの影響に関する予測に驚きつつも疑いの目を向けたくなるのは事実です。そして、どのインターフェースやデバイスが主流となり、どれが跡形もなく消えていくのかを予測することは慎重を要します。

「10年前、休暇中の友達と直接連絡を取るのにポストカードを送るのではなく、Skypeや携帯で連絡することを誰が予測したでしょうか。また、旅行代理店のカタログではなく、パソコンの画面上のウェブサイトから旅行の手配をすることを誰が予測したでしょうか」とフィリポーヴ氏は疑問を投げかけます。


21世紀を迎えて以降、インターネットとそれに関連するデジタルテクノロジーの普及はほぼすべての分野において人間の努力を中断させ、旅行を計画、予約、体験する方法に変化をもたらしました。

それにも関わらず、フィリポーヴ氏はこのテクノロジー革命は初期段階にすぎないと信じています。「私達はまだ長い道のりのスタート地点にいるのです。今後、長い道のりの中でコンテンツのパーソナライゼーションや人工知能などの分野の進歩を目の当たりにすることでしょう。そして、それらによって、予約の取り方や休暇の取り方がまったく新しいものとなるでしょう」とフィリポーヴ氏は話します。

「出張旅行が多く、荷物は手荷物のみ。必ずファーストクラスを選び、会議場所から1.6km以内の4ッ星ホテルに滞在する。スカイスキャナーのような旅行サービスは、そういった顧客それぞれの好みを理解するセマンティックかつ直感的なオンラインツールを展開できるようになるでしょう」


ノートパソコン

「旅行先の希望は7時間以内で行ける太陽が降り注ぐ場所。スーツケースは最低2つ。滞在先の希望はビーチに近いジム設備が整ったホテル。これらの情報が分かっていれば、夏休みの予約も同様にシームレスに行うことができるでしょう」

「今後5年の間に、旅行関連ウェブサイトは、ユーザーから聞かれなくても、ご家庭のデジタルテクノロジーにパーソナライズされた興味をそそる旅行計画の案を提供できるようになるでしょう」

「「旅行者が何よりも優先され、テクノロジーが旅行者の体験を直感的かつ刺激的で充実したものにしていく世界を想像すれば、未来の旅行を取り巻く環境の本質がわかるでしょう」

これが報告書「スカイスキャナーがお届けする未来の旅行のあり方」が描く世界です。この報告書では、現在開発中の様々なテクノロジーを紹介、説明しています。これらのテクノロジーはいずれも将来、世界の旅行業界を形作るために進化を遂げていくでしょう。

セクション1: 計画と予約
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2020年代の旅行を取り巻く環境

2020年代の旅行を理解するためには、今後10年間にわたり海外旅行業界を新たなものに変えるテクノロジー、経済、社会が及ぼす影響を考慮する必要があります。

おそらく現在進行しているものの中で最も広範囲に及ぶ影響は、デジタル化の成熟期に向けての成長です。2014年には、サイバースペースやそれに関連するテクノロジーはもはや目新しくも斬新でもなくなっています。これらはすでに私達の生活の一部として当たり前のものとなっています。

中国ネットワークインフォメーションセンターによれば、中国では現在4億6,400万人、すなわち総人口の34.5%がスマートフォンやワイヤレス携帯デバイス経由でインターネットにアクセスしています。 ブルッキングス研究所によれば、アジアでは中産階級が増大しており、2020年までにその数は3倍の17億人になると予測されています。そして、デジタルテクノロジーへの世界的な動きや取り組みは、中産階級の消費力によって駆り立てられるでしょう。

2024年までに、インターネットの接続性とそれを可能にする携帯デバイスは、現代の照明や集中暖房システムと同じくらい当たり前になるでしょう。 先進国と発展途上国の両方において、テクノロジーはシームレスに旅行者の日常世界へと取り込まれていくでしょう。シスコシステムズによれば、2020年までに500億のデバイスがインターネットに接続されると見られています。

同時にアジア、南米、アフリカの発展を遂げる市場、すなわち各地域の新たな新興経済国の国民の消費力が高まるにつれて、これらの地域からの旅行者が激増するでしょう。

Boston Consulting Groupによれば、世界で最も大きく、急成長を遂げている地域経済であるアジアのGDPは2030年までに2倍の67兆米ドルになり、ヨーロッパと南北アメリカのGDPの予測額を合わせた額を上回るとされています。

発展を遂げる市場からの何百万人にも及ぶ旅行者はグローバル・モビリティ(海外への移動)の時代の到来を告げています。これに伴い、海外旅行業界、そして旅行の機会や旅行体験の需要は、今後10年間で急速に拡大していきます。

世界旅行ツーリズム協議会(World Travel & Tourism Council)は、2013年に海外旅行者数は3.2%増加すると予測しています。この数値は、いとも簡単に世界の予想GDP成長率2.4%を上回るものです。このギャップは、2012年の新興経済国でより顕著に見られます。事実、2012年の年間旅行者数は、中国と南アフリカで7%増加、インドネシアでは6%増加が報告されています。

経済破綻後の負債や緊縮経済により過去5年間経済成長が後退しているヨーロッパやアメリカといった切り詰めが必要な市場では、依然として経済混乱が続いています。経済混乱は、こういった切り詰めが必要な市場の旅行者の旅行に対する姿勢を形成するため、発展を遂げる市場の旅行に対する消費は、継続する経済混乱への世界的な対応策として必要不可欠になるでしょう。

IPK Internationalの報告書「Global Travel Trends」(世界の旅行トレンド)2012年/2013年版では次のように報告されています。「経済混乱が続見られる国はますます増えてきているが、これらの国々は国の負債を支払うことができない。債務危機は終わっておらず、西ヨーロッパ、アメリカ、日本の旅行動向へのマイナスの影響(いわゆる「下降移動」)を排除することはできない」

2020年代の海外旅行業界の定義に役立つ最後の影響は、社会に関するものです。前例のない速さで世界の高齢化が進む中、人口統計学上の時限爆弾は爆発の時を待ち構えています。

国連によれば、1950年~1955年には47歳であった全世界の平均寿命が2005年~2010年には69歳まで上がっており、20世紀は人類史上最も急激な死亡率の低下が記録されています。

また、1950年、15歳未満の子供の数は、60歳以上の成人の2倍でしたが、2050年までに、60歳以上の成人の数は、子供の数の2倍になるとされています。

このため、2024年は、発展を遂げる市場の新たな体験への需要が高まることが予測され、一方で経済立て直しを行うヨーロッパやアメリカといった切り詰めが必要な市場では財政面での警戒が見られるでしょう。未来の旅行者はこの2つの市場が共存し、うまくバランスをとっている世界を旅行することになるでしょう。

また、未来の旅行者にとって、旅行先の決定、予約から、トランジットやフライトまで旅行のあらゆる側面が一貫して無意識に最新のデジタルテクノロジーに組み込まれることは、当たり前のこととなるでしょう。




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調査方法

スカイスキャナーの本報告書は、世界の主要都市の編集者、調査員、未来のネットワークに関する知識に精通している専門家56名で構成されたチームによって、今後10年間に開発されることが見込まれる画期的なテクノロジーと2020年代の海外旅行業界を形作るワクワクするような新たな旅行先の詳細なイメージを描くためにまとめられたものです。

専門家の方々のご協力

報告書作成にあたり、『Technotrends: How to Use Technology to Go Beyond Your Competition』の著者である未来学者のダニエル・ブルス氏や旅行に関する未来学者であるイアン・ヨーメン博士をはじめ世界的に有名なあらゆるジャンルの専門家の方々の専門的知識を取り入れ、今後開発されるであろう旅行に関するテクノロジーや今後の旅行動向を調査しました。

また、デジタル戦略家ダルジット・シーン氏、マイクロソフトUKの構想部門主任デイブ・コップリン氏、グーグル・クリエイティブラボのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターのスティーブン・ブランナカス氏、レディング大学人工頭脳学部のケビン・ワーウィック教授、Future Laboratoryの共同設立者であり『CreATE』、『The Tomorrow People』『The Trend Forecaster’s Handbook』の著者であるマーティン・レイモンド氏よりご提供いただいた背景事情に関する講義の内容も活用いたしました。

スカイスキャナーからは、マーガレット・ライス-ジョーンズ氏(会長)、ガレス・ウィリアムズ氏(CEO兼共同創設者)、アリステア・ハン氏(最高技術責任者)、フィリップ・フィリポーヴ氏(企業間取引担当部長)、ニック・グプタ氏(ホテル担当部長)、ダグ・キャンベル氏(製品マーケティング部長)に独自の見解や専門知識をお話しいただき、必要に応じて報告書内で直接引用させていただきました。

上記の情報と平行して、Future Laboratoryのオンライン・ネットワーク「LS:N Global」と同社の旅行、テクノロジー、レストラン、ホスピタリティに関する年次報告書に記載されている研究結果を使用して調査内容を補いました。




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芸術作品


2024年の旅行 - セクション2 PDF (2.5Mb)







2024年の旅行 - セクション3 PDF (2.5Mb)







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お問い合わせ

本報告書に関する詳細は、以下までお問い合わせください。

Yukari Bista

yukari.bista@skyscanner.net

+65 3157 6129

スカイスキャナーに関する詳細は、 : www.skyscanner.jp

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